中華人民共和国の立法府、いわゆる中国の国会に相当する「全国人民代表大会」が2020年5月28日閉幕いたしました。
その中で、オンラインゲームに関してかなり細かい言及と立法化を推進する草案が語られたのでここに記載しておきます。
これが成立されれば、間違いなく日本にもゲーム業界、いや世界に影響を与えかねないと感じたので、過去の事例と合わせて書いてみたいと思います。
すでにゲームの中毒防止策、データ保護のルールなどはいろいろな取り組みが各国ありますが、これが施工されると日本、アプリゲーム業界、エンターテインメント業界も大きな影響を受けそうだと感じました。
たとえば先日のこのニュースも間違いなく影響を与えると予測。パブリッシャーのタイトルレベルの話ではなくプラットフォームを巻き込んでの対応ツールの開発。現時点ではパブリッシャーベースや国レベルでの利用が推進されそうだがこれがグローバルルールになる日もそう遠くはないのかもしれない
中国の民法草案に中毒防止の施策
ゲームアイテムの資産化が記載された
大きく取り上げると大きな点はこの2つ。
今年のゲームの提案は主に中毒防止の問題。さらには保護の範囲に「仮想財産」が含まれた草案が総則に記載されました。
では少し紐解いてみましょう。
直訳からですが、こう記載されています。
ゲーム関連の中毒防止規制、
および取り組みに関して記載されたこと
1.オンラインゲームのレーティングシステム
無法地帯になっているゲームにレーティングをしっかりと設けましょうという話。
2.認証システムの強化とそれに伴うルール
具体的に挙げられたのは、顔認識やその他の技術を使用して、未成年者がオンラインゲームにログインする時間、期間の監視と評価を実装。
3.ブロックチェーン技術を用いた中毒防止対策、およびゲーム会社の改ざん防止
目的は2つ。1つ目は、ユーザーIDとデータを記録し、すべてのゲームデータを一元的に統合すること。それを持ってプレイ時間などを計測して中毒性を防止すること。
2つ目は改ざん不可能な性質を持たせることによって、ゲーム会社による不正行為の可能性を防ぐだけでなく、規制政策の実施をきちんと取り組んでいるのかというようなプロセスと詳細を追跡できるようにすること。
一言でいうと、抜け駆けは許せん。横にならえでルールも統一化しろやこら!っていうイメージかな。日本ではいまだにガチャの表示ルールを適当にしているタイトルが多い。
4.今後の予定で取り入れる可能性がある項目
(Ⅰ)生体認証
ゲーム業界が、ゲームの登録、ログイン、および顔のログインと顔の支払いを含む料金の支払いに、現在成熟したバイオメトリクス技術の導入をいち早く取り組むこと。
(II)オンラインゲームサービスは授業中に閉鎖する
未成年が学業をする時間はゲームサービスをするべきではないという極論まで浮上。
(III)仮想データの保護、継承が民放草案が盛り込まれた
今回の大きなトピックはこれだとも書かれています。
同記事内を見ると本件においては2007年ほどから取り上げられていて、長い間議論に挙げられていたものだが、今年になってようやっと草案に盛り込まれたとことが一番大きな進展だと書かれています。
仮想データの継承って何かというと、いわゆるゲーム内のデータまでもユーザー側の資産だから、紛失などをした場合、企業側が当然補償すべきだということ。
日本ではユーザーの故意や過失でない限りはログをみて補償をするのは比較的当たり前ではありますが、中国のサービスでは一部それをやってなかったのかもしれません。(今はどうか知りませんが)
しかし一番怖いのはそこではない。
ここには書かれていませんでしたが、サービス提供者としては2つ問題があります。
1つ目は、仮想データの保証をどこまで行うべきか。
これはいわゆる無料のアイテムや時間に該当するものまでを含むのかどうかということですね。MMORPGなどはとにかくめちゃくちゃなアイテム数が登場しますし、ログの保存量はめちゃくちゃ膨大になります。
そのため、一般的には一部どうでもいいような無料アイテムなどはログをあえて残さないというようなこともしているからです。
もし仮にそのデータ保存の対象をどうするのかにおいて、全てだとなれば、データ保存の物理的料金もさらにかかるのではないかという懸念です。
2つ目は、サービスが終了したときのバーチャルデータをどう捉えるべきか?
という視点です。もし仮にここの範囲まで言及されてしまうと、ゲームの作り方そのものを変えなくてはいけないので、サービス制作側からするとリスクがよりアップすることになります。
日本は資金決済法がある
日本のオンラインゲーム、アプリゲームは資金決済法という法律がありまして、これはサービスが終了したとき、お客様に返金できるようにするため、ユーザーが課金して、使われていない残高の半額分を金融庁に供託するというルールがあります。
しかしながら、一部のゲームはこれを適用していないものもあったり、返金対象はあくまで自己申告の場合が多いので、仮にサービスが終了したゲームでの返金時はよく確認した方がいいですね。
また、ゲームサービスと同時に会社が倒産してしまった場合は供託もしていないでしょうし、返金すらもできないでしょうから、その限りではないですね。
所感
話がそれましたが、中国の全人大、翻訳を見ていても気づきますが、中国の規制や法案は、やたらといろんなところに監視監視、不正防止、透明性って書いていて、超絶強力な集権が滲み出ていますよね。
韓国では住民番号がないとオンラインゲームにはログインできないなどのルールがありますが、中国ではどうやらそれ以上に個人のデータを生体レベルで把握、管理をしようとしているのかと思うと少しゾッとします。
ましてや今は中国の会社規模はとてつもなく大きくなってきており、日本のIP(著作財産)はどんどん買われ、ゲーム会社も中国資本の傘下にどんどん入ってきていますし、この流れは今後も100%加速していきます。
これによって何が起こるのか? 日本のクリエイター、会社はどうすべきか?については今後詳しく書いていきたいと思いますが、この法案が日本だけでなくどうやら世界のゲーム業界全体にも影響を与えそうな予感がすごくしているので、今後も要チェックだと思います。
ルールを守れない人が多いから、強制力を用いてルールを守らせますっていうのは緊急事態時などはまぁ理解できますが、エンターテインメントなどにおいてそこまでやる理由が何なのかは、正直まだ僕の中では理解しきれないところが多々あります。
日本の香川県のあれもそうですけどね。
追記
必死こいて記事書いていたら、めちゃくちゃわかりやすい翻訳記事がすでにあったから、こちらをみるといいです。むしろこっちの方が圧倒的に詳しいw